相続した空き家を譲渡した場合の税金は?賃貸した方がお得?

ワンズ・ベストの川田です。
今回は相続した空き家を譲渡した場合の税金は?賃貸した方がお得?についてです。

核家族化が進み、子供が成人して結婚した場合、「親と同居」という選択をする方が少なくなりましたね。
結果、親の住んでいた家が空き家になり、そのまま放置され、近年は空き家が増加傾向にあります。

そこで、国土交通省が「空き家の発生を抑制するための特例措置」を作りました。

みなさん、この特例措置の内容はご存知ですか?
「相続時から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、被相続人の居住の用に供していた家屋を相続した相続人が、当該家屋(耐震性のない場合は耐震リフォームをしたものに限り、その敷地を含む。)又は取壊し後の土地を譲渡した場合には、当該家屋又は土地の譲渡所得から3,000万円を特別控除します。」
という内容です。



ただし、諸条件がありますので、全ての空き家が対象というわけではありません。
その辺りを踏まえて以下の内容をご確認下さい。

空き家を相続する可能性がある人が確認しておくべきこと

まず、建物が建築された年月日をご確認ください。
この日付が昭和56年5月31日以前か昭和56年6月1日以降であるかがポイントです。

【確認する方法1】・・・以下のいずれかの方法でご確認ください。
1、権利証を確認してください。
2、権利証が見当たらない場合は、法務局で建物の全部事項証明書(謄本)を取得してください。
3、インターネットでも全部事項証明書(謄本)と同じ内容のものが取得できます。
以下↓
登記情報提供サービス

上記の方法で確認した結果、登記の日付が昭和56年6月以降だった場合でも、昭和56年中の新築登記であれば諦めずに次の確認も行ってみてください。
【確認する方法2】・・・以下のいずれかの方法でご確認ください。
1、建築確認申請書をご確認ください。
2、建築確認申請書が見つからない場合は、役所に出向き、確認台帳を閲覧してください。

【建築確認交付日を確認する】
A.建築確認済証の交付日が平成56年5月31日(この日は日曜なので、実際は5月29日まで)以前
B.建築確認済証の交付日が昭和56年6月1日以降

Aの場合は「特例措置」の対象になりますが、Bはなりません。

※ただし、この辺りは微妙なところで、所轄の税務署の判断となります。
建築確認交付日が昭和56年5月31日以前でも、登記簿の新築年月日が昭和56年6月1日以降の場合は、対象外になる可能性もあるので、その辺りは関係各所にご確認ください。

【現在のご実家の状況】
わかりやすいように相続人の目線で書きますね。

まず、ご実家にご両親だけでお住まいになられていました。
その後、お父さんもしくはお母さんのどちらか一方が亡くなりました。

と、ここまではよくありそうな事柄ですね。

ここから2つのパターンに分かれます。

A.いずれかが亡くなった後でも、ご実家にお父さんまたはお母さんだけでお住まいになる。
B.一人になってしまったので子世帯と同居し、一緒に暮らし始める。

※こちらもAの場合は「特例措置」の対象になりますが、Bはなりません。

基本、特例措置の適用要件は、ご実家に親御さん一人で生活していて、その後、ご実家または病院等でお亡くなりになった場合に限ります。
また、ご実家に一人で住んではいたが、その後老健施設等に入所し、その後病院で死亡した場合も適用要件から外れます。

亡くなる直前までご実家でお住まいになっていた、ということが「特例措置」の適用条件になります。
なんだか、ちょっと・・・?という気もしますが、これが適用要件のようですので仕方ありませんね。



空き家を相続したらまずやるべきこと

相続をしたら、当たり前ですが不動産が自分の名義になります。
不動産が自分の名義になるということは、固定資産税という税金がかかってきます。

不動産の名義が自分だから、この不動産は自分のものだ!と思っている方が多いと思いますが、よく考えてみて下さい。
自分のものなら、持っているだけでお金を払う必要はないですよね?

国は所有権という名称をつけて
「この不動産はあなたのものですよ。」
とあたかも自分が所有しているんだと思わせて、固定資産税という名の家賃(税金)を取っています。

誤解のないように申し上げますが、私は国の制度を批判しているわけではありません。
不動産はただ持っているだけで、活用していなければ負債でしかない!ということを申し上げたいだけです。

ここで言う「負債」とは「税金」のことです。

つまり、まずやらなければならないことは、相続をしたらすぐに、賃貸するか売却するかを決めることです。
その基準として、上記「空き家を相続する可能性がある人が確認しておくべきこと」を確認して、両方ともAが該当するようであれば、売却の方向で進めたほうがいいでしょう。

片方でもBの要件に当てはまってしまった場合は、賃貸の方向で考えてもいいかもしれません。

賃貸する前に確認すべきこと

まず、上記「空き家を相続する可能性がある人が確認しておくべきこと」を確認します。
上記の内容をクリアしているにも関わらず、建物を賃貸してしまい、その後で譲渡した場合は「特例措置」が受けられません。

次に耐震性を確認します。
旧耐震(昭和56年5月31日以前の建物)の場合、耐震診断をされたほうがいいでしょう。

そのままの状態で賃貸したとして、地震等で倒壊した場合に所有者責任を問われる可能性があります。
よって、賃貸する前に耐震診断を行い、耐震補強工事をお勧めします。

控除が受けられる空き家の条件

箇条書きで書きます。
①相続した建物が旧耐震(昭和56年5月31日以前)の建物であること。
②区分所有(マンション)でないこと。
③相続した家に親が一人で亡くなる直前まで住んでいたこと。
④相続した日から売却するまでの期間が3年を経過していないこと。
あくまでも相続した年から3年経過したその年の年末までが期日です。
(例1)平成26年1月1日に相続をした場合、平成29年12月31日までに売却したもの。
(例2)平成26年12月31日に相続した場合でも、平成29年12月31日までに売却したもの。
※平成29年7月13日付けで売却した場合の相続日は平成26年1月1日以降となります。
⑤相続した日から、売却するまでの間に他の人に賃貸していないこと。
⑥譲渡価格が1億円以下であること。
⑦建物付きで売却する場合は耐震検査を行い、耐震補強工事を行うこと。
※耐震基準適合証明書又は建設住宅性能評価書の写しを提出しなければならない。

と、結構色々と制約がありますので、ご注意ください。

特に⑦の耐震検査と耐震補強工事は一般の方には大変だと思いますが、耐震補強にかかる見積もりと、解体費用にかかる見積もりと、譲渡所得税額を計算し、どれが一番手残りがあるか確認しましょう。

例えば、「特例措置」に該当する空き家を3,300万円で譲渡したとしましょう。
建物を耐震補強すれば3000万円の特別控除を受けられますが、耐震補強をせずに売却した場合、譲渡所得税は20%の税金を納めなければならないので、手残りは2,640万円となります。
しかし、耐震補強をすることで「特例措置」を受けられ、更に売買価格3,300万円から耐震補強工事300万円も差し引いた額から3,000万円控除されるので、手残りは3,000万円となり、結果360万円の税金を支払わなくて済みます。

また、建物を解体した方が土地が高く売れる場合もありますので、解体見積もりとの比較もしておきましょう。

※「特例措置」の条件については国土交通省のパンフレットもご確認ください。↓
空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)について

空き家を相続したらすぐに不動産会社に相談し、「空き家の特例措置」をよく把握している担当者にお願いしましょう。
せっかく控除される要件を持っていても、詳細を知らずに賃貸してしまったりすると、「特例措置」が受けられなくなります。
何はともあれ、相続したらまず不動産会社に相談しましょう。




賃貸した方がお得な場合

箇条書きで書きます。
・昭和56年6月1日以降の建物。
「特例措置」が受けれられないので、通常通りの税金がかかります。
それを踏まえて判断しましょう。

・賃貸需要の多い場所で今後賃料が上がる可能性がある。
この場合はすぐに賃貸に出せる状態にして、賃料収入を得ましょう。

・人気エリアにあり、今後土地の価格が上がる可能性がある。

・相続した日から3年以上経過してしまった場合。

要は「特例措置」が受けられないことがわかった場合、税金を払っても今後の維持費・管理費を考えたら売却した方が得なのか、賃貸してインカムゲインを狙った方が得なのかということです。
その辺りをよく計算してみましょう。

やはり、素人判断ではなく、しっかり不動産会社に査定してもらい、売買か賃貸かをご自身で見極めた方がいいと思います。

地元の不動産会社は1社ではなく、数社回って、同じような回答が出るようであればそれが正解だと思います。

とにかく、相続が発生したらすぐに不動産会社に相談して最善策を講じましょう。

ただ、親が亡くなってすぐに売るのは・・・という心情はお察ししますが、あくまでも売るためだけに動くのではなく、ご自身が相続される不動産がどういう状態にあるかを把握する、という意味の方が大きいですので、不利な状態にならないよう、まず相談しましょう。

税金は手間と工夫を惜しまなければ、支払わなくても済む可能性がありますので、情報収集をしっかり行いましょうね。

ちなみに「空き家の発生を抑制するための特例措置」の制度は、相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ、特例の適用期間である平成28年4月1日から平成31年12月31日までに譲渡することが必要です。

ということで相続した空き家を譲渡した場合の税金は?賃貸した方がお得?についてでした。

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