
消化には右or左を下にして寝るのがいい?
こんにちは。ワンズ・ベスト スタッフの北爪です。
今回は、「消化には右or左を下にして寝るのがいい?」について書きたいと思います。
私の父は、年齢のためか、疲れやすいと言っているのこともあり、最近特に夕食後すぐに横になり、眠ってしまいます。
これを見た母が、その度に「お父さん、そんなにすぐ寝ると、牛になっちゃうよ!はい、起きて!」などと、注意しています。
この様子を見て、健康にとって良くなさそうですし、「寝ちゃだめでしょ!脂肪を溜め込みやすくなるから!」くらいの反応が一般的だと思います。
しかし、今回は、もっとそこを突っ込んで追及して、寝てしまうことそのものが良いのか悪いのか?では、どうすれば消化にとって良いのか?というテーマで考えていこうと思います。
体にとって、食後、特に夕食後はどうするべきか、最終的には、「消化には右or左を下にして寝るのがいい?」というところまで追求し、健康と消化についてお伝えしていこうと思います。
しかし右、左と言っても、保守的か革新的という意味の右翼か左翼ではありません。あしからず。友人で酔うと政治や宗教の議論が好きな者がいて、いちいち「お前、右寄りなんだな」とか「意外と左寄りの考えもあるんだな」と、いちいち物申してきます。先月もとある飲み屋で彼のスイッチが入ってしまい、ヒートアップしてしまいました。そしたら、「本職」バリバリの右な思想をもったイカついお兄さんに絡まれてしまいました…>_<…なんとかなだめて事なきを得ましたが、「飲み屋で政治や宗教の話をするな」という教訓を幸運にも実体験で学ぶ事ができました。公共の場では、くれぐれも右か左かを思想の点で話す事はやめましょう!
さて、話は戻りまして「食べてすぐ寝ると、牛になる」という諺がありますが、あれは一体どういう意味なのでしょうか?
そのヒントは、牛の習性から導き出すことができます。
牛は、反芻(はんすう)という消化行為をします。
この反芻は、草食動物である牛が消化の悪い牧草を消化させるために行う行為です。
ちなみにうさぎは、一度排泄した糞を一度食べて、再度そこから栄養を吸収する“食糞行動”という習性があります。
あれだけ固く繊維質の多い牧草などは、消化器官にとって手間のかかる食物であることがわかります。
牛は、一旦食べた牧草を胃から口の中へ戻し、再度噛み砕いた上、飲み込み、胃へと送り込み消化させます。
その時に牛が横になりながら、口をクチャクチャしている様は、確かにお昼時、田舎の定食屋あたりの座敷で食後すぐに横になり、爪楊枝でシーシーやっている常連客のオッさんとイメージ的にダブります。
そこから諺となり、母親が「だらしない様を見せるんじゃない」と子供をしつける意味で言われるようになり、さらに、牛=太るに派生していきました。
つまり、だらしない上に肥満の元となるので、やめたほうが良い、ということです。
さて、“だらしない”は置いておいて、食後にすぐに横になること自体は、我々の肥満、ダイエットにとって良いことなのか否か、お伝えしてまいります。
食後にまつわる諺でもう一つ、「親が死んでも食休み」というのがあります。
そのくらい食後の休憩というのは大事だというものですが、「〜牛になる」とは真っ向から食い違う諺です。
確かに医学的に見ても、食後に休むことは、消化活動にとって非常に有効ですので、理にかなった諺です。
食後の体内は、胃腸の消化活動に血流が集中し、エネルギーもそちらに回されます。
その分、脳に回らなくなるので、食後は眠くなるので、つい眠くなり横になってしまうのは、自然なことのようです。
ここでもし、ダイエット中で脂肪をすぐ燃やしたいので、体をすぐに動かすとしたら、体内で何が起こるか、と言いますと、消化不良を起こすことが分かっています。
体内では、食後、食べたものを消化する活動が活発になっていて、そこで体を動かすと、血流とエネルギーは、脳や筋肉へと使われてしまうからです。
それと、食後すぐに入浴する習慣の方もいらっしゃると思いますので、お伝えしますが、これもお勧めできません。
なぜなら身体が温まることで、血液が全身にめぐり、胃腸が消化作業に集中できなくなり、消化不良を起こしてしまうからです。
まとめると、消化のメカニズムは、以下のようになります。
①食べ物が食道を通り、胃腸で消化
②消化された栄養は、肝臓へと運ばれる。そのエネルギーを使う時に血液が必要となる。
③満腹になると、血液が胃腸で使われるため、脳にはあまり行かなくなるため、必然的に眠くなる
④食後に体を動かすのは、NG。消化に必要な胃への血液が脳や筋肉に血液が行ってしまいやすくなり、消化不良を起こしてしまう。
⑤なので、食後は、休養が必要。
ということです。
・食後すぐに睡眠をとると、恐ろしいことに
ここまでで、食後は体を休ませることが望ましいことがわかりました。
では、私の父のように食後すぐに睡眠を取ってしまうのは、どうなのでしょうか?
これは、一番よくありません。
眠ってしまうと、消化吸収がうまくいかないので、脂肪を溜め込みやすく、肥満の原因となってしまいます。
なぜかと申しますと、“寝る”という行為は、主人である我々にとっては、これほど楽な行為はありません。
しかし体内では、人体にとって重要な仕事で大忙しです。
それが新陳代謝です。
新陳代謝、この言葉は、よく耳にされると思いますが、具体的にどんなことを体内でやっているかというと、細胞の修復、再生の作業です。
さらに、病原菌が新たに侵入していないか、パトロールまでしてくれているのです。
体内を限られた人数できっちりと作業をしている工場に例えるならば、主人である私が満腹状態でいきなり睡眠に入ってしまったら、工場は、過剰活動状態で手が回らなくなってしまいます。
消化をしながら新陳代謝と諸々の仕事もしなければならなくなり、結果、消化不良と代謝不良を起こしてしまいます。
さらに睡眠の質も低くなるので、十分寝たはずなのにだるい、代謝も悪いので、さらに疲れやすく、消化不良も起こっているので、胃で消化しきれない食べ物が腸へ行きます。
それらは、皮肉にも腸内の悪玉菌の格好の餌となるので、腸内環境が悪くなります。
そうなると腸は、体の免疫機能も司っている重要な器官なので、免疫力は下がり、体が老化しやすくなり、便秘もしやすくなります。
さらに免疫低下、代謝不良は、最悪の友人、“がん”まで呼んできてくれます。
どうしても寝たいという場合は、食後3時間してからならば、体内工場の作業員は、きっちり仕事ができます。
寝る前には、胃が空っぽの方状態が理想的なのだそうですが、それもキツいですね(笑)
ですので、食後は横になっても良いですが、命が惜しければ、睡眠を取ってはダメということがわかりました。
だいぶ複雑になったので、食後にすぐ寝てしまうことの危険性をまとめると、
①食後にすぐ寝る
②体内では、新陳代謝、病原菌パトロール、消化作業、と大忙しでどれも不十分になってしまう
③寝ても疲れが取れない、代謝不良でさらにだるく、老化が進む、腸内環境悪化、免疫力が下がる
④不健康になり、がんのリスク高まり、“早死に”の可能性も。
⑤寝るならば、食後3時間経ってから
・「消化には右or左を下にして寝るのがいい?」
この記事の主題にようやく辿りつきました。
食後、横になることが消化と健康に良いことが分かりましたが、仰向けなのか、うつ伏せなのか、右半身を下にするのか、左半身を下にするのか?についてお伝えしてまいります。
まず、食後仰向けになることですが、おすすめできません。
体質、食事によりますが、逆流性食道炎になりかねません。
この逆流性食道炎は、最近ガス○ーテンなどの胃腸薬のCMでよく耳にするようになりましたが、この炎症は、胃酸が食道に逆流することによって、起こります。俗に言う胸焼けです。
胃は、胃壁と粘膜に守られているので、強力な酸である胃酸から守られていますが、胃のような保護膜等がない食道は、胃酸が逆流すると、傷つけられてしまいます。
これが、逆流性食道炎です。
そこで、本来は、下部食道括約筋(かぶしょくどうかつやくきん)という筋肉が巾着の紐のような役割を担い、食べ物が入ってくるときだけ緩んで、胃に食べ物が入っていき、普段は閉まっています。
そうすることで、胃酸の逆流を防いでくれるので、炎症が起こらないように上手くできています。
しかし、分解、消化が手間のかかる脂分やたんぱく質の多い食事を摂りすぎて過度の胃酸が出たり、加齢によって、下部括約筋の働きが弱くなったり、肥満により腹圧が高まったり、といったことが原因で逆流性食道炎になると考えられています。
食いしん坊の私も子供のころ父に「慌てて食べると胸焼けを起こすぞ」なんて言われたことがありますが、まさに、その通りですね。
私の記憶が正しければ、昔のアニメ、宮崎駿監督の作品「アルプスの少女ハイジ」に出てくる、主人公ハイジの友達の少年、ペーターがおじいさんの注意も聞かず、彼の好物のソーセージをいきなりがっついて、すぐさま胸焼けを起こして苦しむシーンを思い出します。逆流性食道炎の兆候として考えられるのは、背中の痛み、げっぷ、普段と違う口臭、胸の痛みです。食後に、背中が痛いと感じたり、げっぷが出まくったり、いつもと違う息の臭さ(これ、言ってくれる人がいないと、自分では分かりづらいのが難点ですが)を感んじたり、胸がムカムカするのももちろん、痛いと感じる事もあるので、頻繁に痛いと感じたら、逆流性食道炎を疑ってください。ついでに、胃潰瘍の原因と考えられる胃の中で生息するピロリ菌に関してですが、以前は、ピロリ菌が除菌されると逆流性食道炎になりやすい、と言われていました。
つまり、ピロリ菌のおかげで逆流性食道炎が軽減されていると考えられていましたが、最近では、その関係性は、希薄ということがわかりました。
ピロリ菌の患者が、治療のために除菌をしても逆流性食道炎になることは、ほとんどない、または、軽症で済むそうなので、ご安心を。胃潰瘍は、「ストレス」「暴飲暴食」「ピロリ菌」「NSAIDsと呼ばれる痛み止め薬(市販薬では、“ロキ○ニン”、“バ○ァリン”の事です。)」が原因であると考えられており、食後に鳩尾や左脇腹あたりが痛い、と感じたら胃潰瘍を疑ったほうがいいです。しかも鳩尾、左脇腹以外にも、背中が痛いというのも胃潰瘍の信号と言われており、背中が痛いとお医者さんに駆け込み、胃潰瘍である事が判明するケースが多いそうです。ですが、背中が痛いと感じていたら、「この間、友人の引越しの手伝いをして、ドラム式洗濯機を運んだら背中や腰が痛い」、というのとは当然違い、内側からじんわりくる痛みですので、全く別ものの“痛い”という信号だと、休憩中、話しをするたびに「胃が痛い、胃が痛い」が口癖の、胃潰瘍で悩まされていた、私の大学時代にお世話になったバイト先の店長が言っていたのを思い出しました。
続いて、食後うつ伏せになると消化にとってどうなのか?私は、うつ伏せで寝る習慣そのものがないのですが、少数ですがそういう方もいるようなのでお伝えします。
当然ながら、胃が圧迫されてしまう上、先ほど挙げた逆流性食道炎にも、消化にもよくありません。
次に、食後、右半身を下にして横になると消化にとってどうか?ついに、当たりが出ました!
消化にとっては、食後、右半身を下にして横になることがおすすめです。
これは、胃の形に理由があります。胃は、形状的に食道から十二指腸の方へ右方向に流れていきますので、食べ物が胃の形に沿って右に落ちるので、食べ物の消化吸収がスムーズになります。
最後に念のため、左半身を下にして横になると消化にとってどうか?ですが、逆流性食道炎には、「左を下にして横になるといい」と言われています。
どういうことかと申しますと、右半身を下にして横になるのとは逆で、胃の中に食べ物が留まる形になるので、胃酸の逆流を防ぐことができ、逆流性食道炎の予防になるそうです。
つまり、食後、消化のためには、右半身を下にして横になるのがおすすめで、逆流性食道炎の予防には、左半身を下にして横になるのがいい、ということがわかりました。
ただ、体質等で逆流性食道炎になりやすい方は、クッションなどを当てがって上半身を高くすると、よりなりにくくなるのでおすすめです。
ですので、今回のテーマである消化にいいという意味では、食後は、右半身を下にして横になり、逆流性食道炎が心配な方は、さらにクッションなどで上半身を高くすると良い、ということです。
ようやく「消化には右or左を下にして寝るのがいい?」の決着がつきましたね。
というわけで今回は、「消化には右or左を下にして寝るのがいい?」についてでした。
以下、参考までに、胃の消化の仕組みの動画もご用意しましたので、よろしかったらご覧ください。
やさしく学ぶ-消化器の病気 逆流性食道炎
動画URL https://www.youtube.com/watch?v=7qJM50IHFqk
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