
乳癌完治の確率は?(ステージ別)
ワンズ・ベストの川田です。
今日は「乳癌完治の確率は?(ステージ別)」についてです。
最近、「乳癌」の話をよく耳にしますね。
2013年には、アンジェリーナ・ジョリーが乳癌予防のため健康な乳房を手術(乳腺切除)し、話題になりました。
また、最近では、北斗晶さんが乳癌と公表し、手術をされました。
元おニャン子クラブの生稲明子さんも過去の乳癌の手術を公表されました。
そして、先日は市川海老蔵さんの奥様の小林麻央さんが進行性の乳癌という衝撃のニュースが飛び込んできました。
「進行性で深刻な状態」というのが心配ですね。
私の知り合いでも2人、乳癌になった方がいらっしゃいます。
その内1人の方は乳房温存手術をして、現在元気に暮らされてます。
この方は、当初医師から乳房全摘出を提案されたようですが、セカンドオピニオンで乳房温存手術で治すことができたとのことでした。
もう1人の方も現在民間療法で治療中のようです。
本題の乳癌完治の確率(ステージ別)についてですが、まずその前に、そもそも乳癌とはどんな病気なのでしょうか?
乳房には、「脂肪」と「乳腺」という組織があり、「乳腺」から発生する癌を「乳癌」と呼びます。
乳癌は、他の癌と同様に細胞の遺伝子異常(活性酸素の蓄積)によって発生します。
乳癌が発生したり進展したりするのはホルモンに依存しているようです。
成人の女性の乳房は、乳頭を中心に「乳腺」が放射状に15~20個並んでいて、その乳腺は小葉に分かれ、【図1】のように乳管という管で繋がっています。
乳癌の約90%はこの乳管から発生し、これを乳管癌といい、小葉から発生する乳癌(約5~10%)、これを小葉癌といいます。
【図1】
2015年の女性のがん死亡数・羅患数予測のデータでは、死亡数は大腸癌、肺癌、胃癌、膵臓癌、乳癌の順で、5番目ですが、羅患数予測では、乳癌が全体の21.2%を締め、2位の大腸癌(13.7%)を大きく引き離して1番羅患数が多くなっています。
死亡数でも乳癌は1965年は全体の4.1%だったのが、毎年割合は増え続け、2013年には倍以上の8.9%に増えています。
また、部位別がん羅患数推移でも、乳癌は1980年には12.7%だったのに、2010年には20.2%と大幅に増えています。
といっても、がん羅患数そのものが大幅に増えているので、乳癌だけが飛び抜けて増えたわけではありません。
1965年には10万人に対して191人(がん全体)でしたが、2010年には10万人に対して513人と約2.7倍にも増えています。
2015年の女性の「予測がん羅患数」では、全体421,800人にも達し、2014年に比べ約10万人も増加傾向にあります。
部位別にみても
1位 乳癌・・・89,400人
2位 大腸癌・・・57,900人
3位 肺癌・・・42,800人
4位 胃癌・・・42,200人
5位 子宮癌・・・30,000人
6位 膵臓癌・・・19,300人
7位 肝臓癌・・・16,600人
8位 悪性リンパ腫・・・13,300人
9位 甲状腺癌・・・13,200人
10位 皮膚癌・・・12,800人
特に乳癌の羅患数が全体のがんの21.2%と2位に大腸癌の13.7%を大きく引き離しています。
しかし、「予測がん死亡数」(下記参照)では大腸癌を大きく下回っています。
1位 大腸癌・・・23,400人
2位 肺癌・・・21,900人
3位 胃癌・・・17,000人
4位 膵臓癌・・・16,200人
5位 乳癌・・・13,800人
6位 肝臓癌・・・10,000人
7位 胆嚢・胆管癌・・・9,700人
8位 子宮癌・・・6,300人
9位 悪性リンパ腫・・・13,200人
10位 卵巣癌・・・4,800人
では、乳癌になった場合、完治する確率はどのくらいなのでしょうか?
がんのステージによると思いますが、ここで、がんのステージの説明をしておきます。
まず、乳癌にはTNM分類というステージ分類があり、このT・M・Nの分類によりステージが決まります。
乳癌の腫瘍の大きさ(T)
T0・・・しこりがない
Tis・・・非浸潤癌・腫瘤のないパジェット病状態
T1・・・腫瘍の大きさ2cm以下
T2・・・腫瘍の大きさ2.1cm〜5cm以下
T3・・・腫瘍の大きさ5.1cm以上
T4・・・腫瘍の大きさやリンパ節転移に関係なく、他の臓器に転移している
乳癌のリンパ節の転移(N)
N0・・・リンパ節転移なし
N1・・・リンパ節転移が1〜3個
N2・・・リンパ節転移が4〜9個
N3・・・リンパ節転移10個以上
乳癌の遠隔臓器転移(M)
M0・・・遠隔転移なし
M1・・・遠隔転移あり
上記のステージ分類を踏まえて、乳癌のステージが決まります。
がんのステージは、「ステージ0」から「ステージ4」まであり、更に「ステージ2」「ステージ3」についてはその中でも幾つか分類されています。
・ステージ0・・・極めて初期(しこりがわからない)
・ステージ1・・・腫瘍の大きさが2cm以下(リンパ節転移なし)
・ステージ2A・・・腫瘍の大きさが2cm以下(脇の下のリンパ節転移あり)または、腫瘍が2.1cm〜5cm以下で脇の下のリンパ節に転移なし
・ステージ2B・・・腫瘍が2.1cm〜5cm以下(脇の下のリンパ節転移あり)
・ステージ3A・・・腫瘍が2cm以下で脇の下のリンパ節転移しており、周辺測地と癒着が強い。または脇の下のリンパ節転移はしていないが、肋骨内側のリンパ節の腫れがある。腫瘍が5cm以上で脇の下のリンパ節・肋骨内側のリンパ節に転移している。
・ステージ3B・・・腫瘍の大きさやリンパ節への転移は関係なく、腫瘍が胸壁と強く癒着または皮膚表面の進出しているもしくは皮膚が崩れている。(炎症性乳癌)
・ステージ3C・・・腫瘍の大きさに関係なく、脇の下リンパ節と肋骨内側のリンパ節両方に転移あり、または鎖骨周辺のリンパ節転移あり。
・ステージ4・・・乳癌が他の臓器に転移している(肺・肝臓・骨・脳等)
次に乳癌完治のステージ別の確率はどのくらいなのでしょうか。
ここで、完治という意味合いについて記載しますが、基本的にがんには「治癒」「完治」「寛解」という言葉があり、場合によっては「寛解」が一番いい状況といわれる場合もあるようですが、今回は一応目安として、がんの治療をして、その兆候が見られなくなり、5年以上経過した状態で一応「完治」と表記します。
ただし、絶対に再発しないとは言い切れないので定期的に診察を受けてください。
当然、早期発見、ステージ4からステージ0に向かって乳癌完治の確率は上がっていきます。
乳癌完治のステージ別の確率は、データにより若干前後しますので、下記のように幅を設けてあります。
まず、5年生存率は・・・
ステージ0・・・ほぼ100%
ステージ1・・・95〜96%
ステージ2・・・88〜90%
ステージ3・・・69〜72%
ステージ4・・・32〜42%
治療方法、臨床数により誤差はありますが、概ね早期の場合は高い確率でほぼ乳癌は完治できそうです。
また、10年生存率で見ると・・・
ステージ0・・・95%
ステージ1・・・89%
ステージ2・・・76〜78%
ステージ3A・・・58〜65%
ステージ3B・・・47〜52%
ステージ4・・・20〜25%
やはり、早期(ステージ0〜ステージ2)であればかなりの確率でほぼ乳癌は完治しているようです。
乳癌は他のがんと比較しても完治する確率が高いです。
やはり全ては早期発見!
遅れれば遅れるほど完治確率は下がりますので、まずセルフチェックをして、各々の検査を受けることをお勧めします。
まず、セルフチェックをして、自分の体を確認しましょう。
チェック項目は
◻︎乳房の変形・左右差
◻︎しこりの有無
◻︎ひきつれの有無
◻︎凹みがあるか
◻︎ただれがあるか
◻︎出血や分泌物があるか
入浴前もしくは入浴中に鏡の前で両腕を上げ形をチェックし、分泌物があるかどうかチェックしましょう。
よく、入浴中に触診で気づくことが多いと聞きますので、少しでも違和感を感じたらすぐに次の検査を受けましょう。
基本、定期検診は普通に受けられていると思いますが、マンモグラフィ検査や超音波検査をしておくことをお勧めします。
また、検査を受けてがんが発覚しても、自分のステージを冷静に見極めて、最善の治療を受け、完治を目指して下さい。
よく、がんと闘う、という言葉を聞きます。
全く違った見解ですが、「がんも自分の一部として受け入れる」という方がいらっしゃいました。
その方は転移性のがんでステージ3とのこと。
ただ、見た目の健康そうで、全くそのよう見えません。
本人曰く、がんと共存は可能とのこと。
また、末期のがんから生還された方もいらっしゃいます。
その方は胃がんで、年齢は70前後の男性です。
医師から余命1ヶ月と言われ、息子さんは葬儀の準備をされていたそうです。
本人も毎日がんの激痛に襲われ、痛くて痛くてどうしようもない状況で、「こんなに苦しいのなら早く(あの世に)連れて行って欲しい」と願っていたそうです。
そして激痛に苦しみながら、ふと、がんに「ありがとう」と涙を流しながら言ったそうです。
自分の中で、そのがんの存在を認め、がんに感謝したとき、痛みが消えて、快方に向かっていったとのことでした。
そして、現在は元気に通常の生活を送られています。
がんに限らず、人間の体はセンサーのように何か異常があると知らせてくれるようになっていると思います。
体の異常は自分が一番わかるはずですので、何かあればすぐに調べて治療しましょう。
そして、体の異常は体だけ治せばいい・・・ということでもなさそうです。
当然、食生活・運動・睡眠といった生活習慣が大きく影響するのは確かですが、心の状態も体に大きな影響を与えるようです。
体と心は一体です。
心の部分で体に影響が出る場合もあります。
普段から機嫌よく、日々暮らせること、当たり前のことに感謝しながら生きていけたらいいですね。
ということで「乳癌完治の確率は?(ステージ別)」についてでした。